先日配信したSubstackの中で収束思考への対策として「遊び」を取り上げたり、先週公開したnoteの記事で「ユニークさ」の話を取り上げたりしましたが、今回はそれらを受けて「ユニークさ」と「遊び」に関するお話でも。
遊びやゆとり、無駄の重要性やその効用についてだけでなく、Substackで掘り下げ切れなかった部分も、改めてお伝えしましょう。
必要なものばかりでは、縮小や衰退を招きかねない
今の経済状況やご時世で、無駄やゆとりを介在させる余裕はない。
生産性を向上させるために、とことん無駄をカットしてコスト削減、最適化に努めなければならない。遊びも無駄も入り込む余地はない。
そのお気持ちやお考えも痛いほど良く分かりますが、無駄や遊びをとことん排除し続けた結果、コストカットしか能のない「経営のプロ」が活躍した結果がどうなっているか、自明でしょう。
余計な在庫を抱えることがリスクになり、余計な無駄をとことん省くことが利益にも直結する自動車などの製造業ならともかく、そうでない分野で乾いた雑巾をさらに絞るような取り組みを続けてしまうと、必要なものすら削り始めてしまい、再起不能なまでの衰退に陥った例、ピンチを招いた例もあります。
今年発生した、米カリフォルニア州ロサンゼルスの大規模な山火事も、史上最大規模にまでなってしまったのは、過度の緊縮財政も一つの要因ではないかとする説も見られます。
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025011200104
いざという時のためにあえて冗長性を持たせ、非常時のための備えとしていたものまで切り崩してしまえば、いざという時に困るのは当然です。また、ハンドルやレバーといった操縦桿に「遊び」が全くない作りだと、操作性にもゆとりがなくなり、非常にピーキーで扱いにくいものとなってしまうでしょう。
日常生活も同様で、例えボディビルダーであっても、食生活に「チートデイ」として食事制限を解除して好きなもの(=必要でないもの)も食べるようにしないと、ストレスを溜め込んでしまったり、減量やトレーニングの停滞期を乗り越えらないようになっています。ボディビルダーほどストイックに身体作りをしていない人間であれば、なおさら「必要でないもの」も摂取しないと、心も身体も壊れるでしょう。
自転車のチェーンにオイルを指して「潤滑油」にしたり、好きなものを取り入れたり、触れることによって「心の潤い」としたり。心身ともに健全かつ健康に過ごすためには、「余計なもの」も欠かせません。必要最低限の潤いや、油も足りない状況で、満足に仕事や業務が捗るでしょうか。答えはもう、お分かりですよね?
先が見通せない現代において、しなやかな勁さ、レジリエンスを保つためには余剰や遊びが欠かせません。
問題解決や「緊急だが重要ではない」も収束寄り
Substackでも言及しましたが、問題解決は確かに大切ですが、「一つの答え」や「一つのゴール」を求めがちな「問題解決」ばかりに集中してしまうと、思考がそっちだけに偏ってしまい、カラーバス効果も相まって視野まで狭くなってしまいます。
同時に、重要性と緊急性の二軸で分類した場合の緊急性は高いけど、重要ではない領域に入るものも、「問題解決」と同等の性質を持っています。可能な限りの即応を求められるあまり、思考も動きも、硬くて小さいものになりがちです。
思考が先鋭化して処理速度も高くなるのは好ましいことですが、その弊害として小さくまとまってしまい、収束から抜け出せなくなってしまうと、人間性そのものまで小さく、つまらないものになってしまうでしょう。魅力ある「ユニークさ」とは程遠い、他の何かと「似たような何か」になるかもしれません。
問題解決も「緊急だが重要ではない」領域も「必要なもの」ですが、そればかりでは衰退してしまうのは「収束」の性質を持っているから。衰退に抗って「拡散」や「拡大」を取り入れたいのなら、「必要なもの」とは対極にある要素、すなわち「無駄」や「ゆとり」、「遊び」に向き合わねばならない、とも言えます。
スティーブン・R・コヴィーの著書、『7つの習慣』の中で「緊急ではないけど重要なこと」こそが重要であると語られているのと、同様です。自己を収束させるだけでなく、拡散させるためのヒントが「緊急ではないけど重要なこと」や、「無駄」や「遊び」に詰まっています。
20%ルール、スカンクワークス
『7つの習慣』だけでなく、「イノベーション」というフレーズが好きな方には今更説明するほどでもないと思いますが、「20%ルール」や「スカンクワークス」も「緊急ではないけど重要なこと」や「無駄」、「遊び」で拡散を図る取り組みと言えるでしょう。
20%ルールは、Googleが導入した制度で「通常のプロジェクトに加えて、Googleに最も利益をもたらすと思うことに仕事の時間の20%を費やすことを奨励」するものだそうです。20%というのは恐らく、働き蟻の内、20%がエース級に働き、60%が並の労働をし、残りの20%が働かず、どれだけ総数が小さくなっても必ず確保される、いざという時の備え、バッファの役割を果たすところからでしょう。
もっとも、80%の時間で通常業務を終え、残りの20%を無理やり捻出したり、100%の通常業務に20%加算される120%ルールだと述べる者もいたり、近年では形骸化していたり用いられ方が変わっているという話も聞くので、2010年代前半までのお話のようです。
- 『グーグルの「20%ルール」は死んだか』
(https://wired.jp/2013/08/20/googles-20-percent-time-is-as-good-as-dead-because-it-doesnt-need-it-anymore/) - 『「20%ルール」の時代に合わせた変化と意外な現状とは』
(https://www.corner-inc.co.jp/media/c0330/)
「スカンクワークス」も20%ルールと同様に、「本来やるべき業務以外の自主的活動」を指します。
(https://www.aand.co.jp/knowledge_words/post_1999/ より引用)
ただ、こちらも2014年の記事によると形骸化も発生している様子なので、20%ルールと合わせて近年はあまり用いられていないのかもしれません。
『企業の“スカンクワークス”が滅亡する理由』(https://xtech.nikkei.com/it/atcl/column/14/476124/120900011/)
もっとも、「何がヒットするかなんて、誰にも分からない」のが世の常ですから、大学や企業の研究も、遊びや無駄から生まれるイノベーションも、沢山試行錯誤して、失敗事例を山のように積み上げるしかないので、収益を上げることが目的の企業体としては、どうしてもどこかで見極めねばならず、効率が良いとは言えない取り組みだったのでしょう。
また同時に、収益に直結しないと分かっていても、「やりたいことをやる」とその先には新たなイノベーションが待っている、強烈な差別化に繋がる可能性が眠っているというのも事実です。本を読んだり、映画を見たり、基礎研究や新たなプログラミング言語に没頭するのも、己の教養やセンスを磨き、視座を高めたり、視野を広げることに繋がります。
すぐに役に立つことはすぐに陳腐化しますが、すぐに役に立たないことは、時間が経っても役立ちます。
千日、万日と鍛錬を重ねるつもりで、また「千三つ」の精神で取り組むことをオススメします。
誰も真剣にやらないことこそ、真剣に
誰にとっても必要なことや、「緊急だが重要ではない」領域のタスクは、恐らくほぼ全ての人が取り組んでいるでしょう。特に、同じ地域の同業他社であれば、100%に近い確率じゃないでしょうか。100%は言い過ぎだとしても、実行している人の方が中央値や最頻値に該当するはず。
つまり、誰もがやっていることをあらためて取り組んだとしても、その経験を有していたところで差別化には繋がりませんし、強みにもならないでしょう。経験することが無駄だとは思いませんし、「凡事徹底」という素晴らしい表現もあるので、誰しもがやる平凡なことこそ全力でやるというのも価値があると思いますが、ただやるだけでは「差」は付かないでしょう。
もっとも、「凡事徹底」が価値を持つのは、誰もやりそうにないレベルで信念とこだわりを持って、側から見ると「無駄」や「酔狂」と思えるレベルまで追求するからだとすると、これまでの話とも合致します。
なぜ、「緊急ではないけど重要なこと」や「無駄」、「遊び」が大事なのかと言えば、「万人にとって必要じゃない」からこそ、何かを選んで取り組むだけで「平均」から逸脱することに繋がります。特に、誰も真剣になってやろうとしないものこそ、あえて真剣に取り組めば、その差は歴然となるでしょう。
お笑いBIG3の一人であり、大御所タレントでもあるタモリさんは、『真剣にやれよ! 仕事じゃねぇんだぞ!』とか、いったとか言わないとか。
『名言が与えてくれるもの⑮:真剣にやれよ! 仕事じゃねぇんだぞ!』
(https://note.com/markanada2018/n/n0cf2eb125211)
「好きなこと、楽しいことにすら真剣に向き合えないようでは、好きではないこと、楽しくないことを、強制力や義務感だけでやり抜くことなんて到底できない」(上記のリンクから抜粋)という意図もあるようですが、真剣にやったらやっただけ、経験の価値も高まりますからね。
誰も真剣に向き合おうとしない「無駄なこと」や「遊び」を経験することにより、アナタの「経験」のユニークさはますます向上するでしょう。経験の連なりが長くなって複雑になればなるほど、「誰とも似ていない」存在になれるはず。
ユニークさや魅力に乏しいと思ったら、「必要じゃないこと」に全力で向き合いましょう。
あとは、伝え方だけだ!
ユニークさを磨き、魅力を高めるために「遊び」や一見「無駄」に思えることにも懸命に取り組んできたら、あとはそれを魅力的に伝えるだけ。
簡単なように見えて、実はこれが一番難しい部分です。だからこそ、我々のようなクリエイターやWeb制作サービスが存在しています。
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