基本施策は「ケ」x「実存性ペルソナ」マーケティング

長谷川 雄治
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機能や訴求力、情報量に制限を掛けた「速くてリッチ」なWebサイトから始まるデータドリブンなパターンオーダーで、一体どんなマーケティングを展開し、どうビジネスへ活かしていくのか。お手頃価格でコストを抑えたまま何故そんなことが出来るのか、今回はその疑問に、「ケ」と「実存性ペルソナ」のキーワードを使ってお答えします。

「速くてリッチ」なWebサイトを活用しつつ、コストを抑えながらマーケティングを仕掛ける上で最適だと判断して採用しているのが、消極的で地味でありながら実利を優先する「ケ」のマーケティングと、実在する顧客からペルソナを構築して前後の戦略、施策を組み立てる「実存性ペルソナ」マーケティングを掛け合わせた、「ケ」x「実存性ペルソナ」マーケティング。

それぞれどんなマーケティングで、なぜそれを採用するに至ったのか、キーワードだけを聞いてもよく分からないと思うので、早速説明へ移っていきましょう。

目次

ド派手な加工で没個性化のリスクもある、煌びやかでやや高コストな「ハレ」のマーケティング

日本の民俗学に明るい方、興味がある方でなければ、急に「ケ」と言われても「何のこと?」と思われるでしょう。「ケ」の対極にあるのは「ハレ」、いわゆる「ハレとケ」、『ハレ(晴れ、霽れ)は儀礼や祭、年中行事などの「非日常」、(褻)は普段の生活である「日常」を表』(Wikipedia ハレとケ   https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8F%E3%83%AC%E3%81%A8%E3%82%B1 冒頭より引用)す言葉、概念です。

目立つ成功例の多い従来のマーケティングは「ハレ」に分類できるのではと筆者は考えています。訴求力を高めるためにビジュアル的にも言語的にも情報密度やインパクトを高めた末での商品提案というのは、日常の中にある小さな非日常、ちょっとしたお祭り感覚で決済してもらうようなスタイルじゃないでしょうか。

ユーザーの気持ちを盛り上げ、「ついつい買ってしまう」状態を演出すること、財布の口を開きやすくするだけの特別な商品、サービスを提示するという形式は「ハレ」に分類可能なのではと考えています。

「マーケティングに投資しましょう」と提案してくる事業者が得意とする手法で、なおかつ顧客にとっても魅力的に映る成功事例、パッと見た時の費用対効果も提示されやすい上に、「ハレ」の分類に相応しく煌びやかで盛大に見える「お祭り」施策なので、非常に魅力的に見えることでしょう。

ただ、事業者が得意とする型、過去の成功事例に無理やり押し込むケースも多く、クライアント自身の個性やUSPより、事業者が持ち込む追加の添加物、没個性化にも等しい加工の方が大きくなってしまうこともあります。誰の目にも煌びやかで「良いものだ」とするために、万人ウケしにくい要素、一見するとマイナスに取られかねない個性も、綺麗に覆い隠されてなかったことにされるかもしれません。

万人ウケしやすい綺麗な見せ方、成功しやすい訴求は可能かもしれませんが、その分、個性や魅力、差別化といったものは部分的にしか伝えられない可能性が出てきますし、万人ウケしやすいもの、訴求しやすい商品、サービスばかりにスポットライトが当たってしまい、本来売りたかった商品は周知できず、本来訴求したかった本当の顧客には伝わらないかもしれません。

例えば、初見のお客様に向けたマーケティング施策として、キャンペーンに合わせた特別な割引商品、割引サービスを訴求する場合、見栄えが良いから、伝わりやすいから、売れやすいからと利益率の低い商品、差別化が困難なコモディティ化した物を提案、オファーしましょうと言われるかもしれません。過去の成功したこともある施策で、集客効果も売り上げとしても結果が出る、数字に繋がる取り組みでしょうが、それで引き寄せられた顧客は特別な割引施策、価格の安さに惹かれただけで、クライアントのUSPやブランドに魅力を感じた顧客ではないかもしれません。
それなりにコストをかけて始めた施策な上に、一定の収益も得られるから止められない、事業者の提案を全面的に受け入れてすがる他ないとなってしまえば、安さに惹かれた本来の顧客ではない顧客を引き止めるべく、無理な要求にも付き合わされてしまう可能性も十分あります。ペルソナ・ノン・グラータ、「好ましからざる人物」(Wikipedia ペルソナ・ノン・グラータhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%82%BD%E3%83%8A%E3%83%BB%E3%83%8E%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%82%BF より引用)が定着してしまうと、目先の収益以上にコストが嵩むデメリットも発生し得ます。

近年では「インスタ映え」に代表されるような「ハレ」のマーケティングは、誰かの成功事例を踏襲しやすく、短期的には収益を追い求めやすい反面、どんな持ち味であってもキラキラに振る舞うことを求められ、折角の差別化したのに没個性化へ繋がってしまう上に、本来相手にしたい顧客には届かない、訴求できない可能性も秘めています。

また一定のコンバージョン率に対して相応のアクセス数も必要となるため、アクセスを集めるため、認知を広げるためのコスト、コンバージョン率を上げるために使用するLPやチラシといったツールの作り込み費用も高くなりがちという課題もあります。

「速くてリッチ」なWebサイトには「ハレ」は難しい

別の記事でも解説しましたが、BLUE B NOSE(以下:BBN)がご提供している「速くてリッチ」にチューニングしたWebサイトの場合、機能面や情報量に限界を設けて、両立が困難な「高速表示」と「表現の豊かさ」のバランスを取っているため、「強い訴求力」というのをそもそも一旦棚上げにしています。

ある程度の派手さや「非日常」の演出を求められる「ハレ」を踏襲し、そのマーケティングから得られる効果や恩恵というのをお届けするには不向きな仕様となっています。更に、従来の「ハレ」のマーケティングを仕掛けるために必要なコストの面に関しても、Webサイト制作の部分、アクセス解析等を元にしたデータ・ドリブンなサイト改修で月額利用料金の1万円を使い切るに等しいので、アクセス数をバンバン稼いでどんどん認知、リーチを広げて短期集中で投資回収、といった取り組みにも向いていません。

サービスを提供する側の職人気質な性格、「誰かが既にやったことをやりたくない」とか「他所でもできることなら、ウチじゃなくていい」という考え方も多分にあり、BBNが提供するWebサイトやWebマーケティングは、従来のやり方や考え方があまり使えない仕様、「ハレ」のマーケティングが向いていない独自スタイルである、とも言えます。

その分、「ハレ」のマーケティングが苦手とする分野、非日常からは遠い地味な個性、綺麗で良い面ばかりではない特徴を持つ事業者やブランド、例えば、ちょっと小汚いけど美味い店、「どこにでもある町中華」みたいな素朴な個性、訳あり商品のようなマイナス面も含めた差別化を図っている事業、ブランド、参考にすべき前例が見つからないサービス等には適しているかもしれません。

大きな費用を割かずに、限られた訴求力とコンテキストも工夫した総合的なコンテンツマーケティングの組み合わせで、あえて時間を掛けて丁寧に伝えていく、ありのままを本来の顧客へ届けていく。そちらの方が向いているからと、地味で目立たず、やや消極的な日常のマーケティング、「ケ」のマーケティングを選択することとしました。

実在する顧客からペルソナ、施策を考える「実存性ペルソナ」マーケティング

「ケ」のマーケティングと合わせて重要なのが、「実存性ペルソナ」を活用したマーケティング。一般的なペルソナマーケティングとは異なり、実際に存在する顧客、特に直近の既存顧客から要素を分解し、ペルソナを作り上げていくのが「実存性ペルソナ」マーケティングです。

実在する顧客を起点に、購買する瞬間やその状態の顧客を原点に起き、そこから「ファン」へ向かう正の方向、「未認知」へ向かう負の方向へ段階分けし、原点から近い順番、すなわち購買の瞬間に近いところから順番に、態度変容に必要な要素や施策について過不足を検証し、それらをアクセス解析や購買データ等を元に、データ・ドリブンで仮説検証していく、順番に成功パターンを固めていく手法です。

何故そんな手順、やり方を選ぶのか。一つ目は「購買の瞬間」に観測される事象、つまり顧客の行動や思考は一つかあるいは極めて小さな範囲に収束する可能性が高く、購買の瞬間から段階的に離れれば離れるほど、その前後で何をやっていたかという身体的なコンテキストや、何が気になって何を考えていたのかという精神的、思考的なコンテキストのブレが大きくなる、分散する傾向にあるのではという仮説を持っているからです。また、「購買の瞬間」はほぼ全ての商品、サービスに起こり得る事象のため、そこを起点に正負の双方へ考えを広げていくと、「ありもしない仮説検証」にリソースを割く可能性を抑えられるのではないかという仮説もあるので、「絶対に起こること or 起こって欲しいこと」から検討しましょう、という発想です。

もう一つは「あり得ないペルソナ」を作って、当たる可能性が低い施策、仮説検証にリソースを割く可能性も低減できるという仮説からです。「実在する顧客」からペルソナを起こしていけば、少なくともその顧客にはヒットする施策、あるいはその顧客の懸念事項を解消する施策から検討することが可能です。「当たるから」という手応え重視の考え方は、「ハレ」のマーケティングで登場しがちな割引施策とも似ていますが、こちらの方が「本来の顧客」へ届く可能性が高く、また実際にヒットする確度も高いのではと考えています。

購買まであと一歩の顧客が何を考えているのか、どんな課題、懸念事項を解決したから購買に至ったのか、実際の顧客へアンケートやインタビューを実施して情報を得られれば、顧客の背中を後押しする施策に繋がりますし、追加購入やリピートを検討する際の打ち手も、実際の顧客から考えることで当たりやすい施策に到達しやすくなるのでは?

事業者にとって「都合のいいペルソナ」、先入観塗れ、思い込み塗れのペルソナが生まれることも回避しやすく、「間違った施策」に深入りすることも避けやすいでしょう。

更に「理想の顧客」と既存顧客、「実存性ペルソナ」の差を見ることで、顧客の定着やファンダムの形成といった要素も、検討しやすくなると考えています。空想上の「理想の顧客」からペルソナを起こしてしまうと、具体的な打ち手が思い付かず、響かない施策に取り組む可能性も高いですが、「実存性ペルソナ」なら、「計画と実行の差」を見るような形で「(理想の顧客なら)こうなるはずが、実際の顧客、実存性ペルソナはこうだ」とその反応や差異について、OODAループなり、PDCAサイクル形を回すことが可能になります。

実存性ペルソナから「理想の状態」、すなわち正の方向(=ファン化する方向)へ極大化した時の状態を想像すると、具体的な既存顧客がどの段階にいて、どんなステップをクリアしていないのか、あるいはどんな提案をすればより親密になれるのかなど、「実在する要望」から仮説検証を開始できます。

当たらない施策、机上の空論を元にした戦略立案、計画実行も避けやすく、バラツキが少ない原点付近、「購買の瞬間」に近いところから仮説検証することによって、リソースの無駄遣いも回避しやすいでしょうし、実際に存在する顧客と向き合いつつ、自分たちが向き合うべき顧客やあるべき姿もしっかり守る。一度、「実存性ペルソナ」という記号化を果たすことにより、一人一人の生身の顧客や事情に深入りしすぎることなく、客観的に捉えることも可能になるのでは、という発想です。

「購買の瞬間」の前後と、リピート施策への注力から拡充していく

「速くてリッチ」なWebサイトを用いて「ケ」のマーケティング、地味でやや消極的な実利優先の見せ方、訴求を軸に打ち出しつつ、既存顧客が明らかな場合は「購買の瞬間」に近い段階、あと一歩で購買するペルソナや、最近購買したペルソナに対する施策から着手します。まだ明確に顧客がいない場合、購買に至っていない場合は、「購買に至る確度が高そうなペルソナ」や「あり得そうな流れ、コンテキスト」をクライアントと擦り合わせ、全体的な打ち出し方や訴求ポイント、収益化へ結びつきやすい部分から手を付ける方策を取っています。

お手頃価格な月額制Webサイト制作サービスで、時間がかかることを積極的に選択しているとは言え、投資したコストがいつまでも回収できないようでは、継続してご利用いただく理由も無くなるでしょう。無理なく続けていただけるように、まずは早期に回収できそうな部分、確度が最も高そうな部分から優先的に手をつけるようにしています。

対象の母数としては「購買の瞬間」から正負の左右、特に負の方向、未認知の方へ進むにつれて大きくなっていくと思いますが、最初に一番遠い顧客を想定して戦略を組み立ててしまうと、投じたコストを回収するまでの道のりが長く、また何がヒットして購買へ至ったのかの仮説検証、態度変容となった施策を絞り込むことが困難なため、再現性の高い勝ちパターンを見つけ、着実に足場を固めていくやり方とは相性が良くないという判断で、できるだけ手堅いところを小さく積み上げる方向、成果としても目立ちにくく地味な「ケ」のスタイルを選択しています。

手堅いところに対する施策からコンテンツマーケティングも導入していけば、多様なコンテキストに対して「効く」コンテンツ、「効果がある訴求」も徐々に積み重ねることが可能です。一つのコンテンツの訴求力が低くても、多数のコンテンツ群により、総合的にリッチなコンテンツ体験を用意することもでき、購買の瞬間から遠い相手に対しても有効なコンテンツを用意するという結果にも繋げやすいのでは、という判断です。

地味で消極的な「ケ」のマーケティングで過度な投資と没個性化を防ぎつつ、「実存性ペルソナ」マーケティングで、確度と収益性の面で手堅く回収効率が高そうな施策を選び、時間がかかることを逆手に取って、データドリブンなコンテンツマーケティング、訴求力が低くても「速くてリッチなWebサイト」が最大限に活かせるやり方で、コストを抑えつつリスクも抑えて持続させやすいWebサイト活用、Webマーケティングをご提案する。可能なら、理想の顧客獲得、ファンダムを形成するところまでお手伝いしつつ、地味でも個性的なサービス、ブランドのオンラインプレゼンスを高めていきたいとも考えています。

地味に目立たず、無理なく攻める。持続可能を目指したコツコツ戦略

「ハレ」のマーケティングは確かに目を引きやすく、短期的に大きな売上を上げるには向いている上に、過去の成功事例を踏襲した横展開にも向いた手法ですが、コストもそれなりにかかる上に顧客の定着や持続性といった観点からは、疑問符がつくことも多々あります。

せっかく新しいことを新しい時代を目掛けてやるのなら、目一杯新しい手法を選びませんか、と。誰もあまりやりたがらない方法で、地味にコツコツ、本当にやりたいことを訴求、提案できるかもしれないやり方で、本来の顧客に対して、本当にやりたかったことをお届けしてみませんか、と。

すぐに結果は出ない分、お客様の普段の頑張りも関わってくるやり方にはなりますが、「ハレ」のマーケティングでマーケティング会社に振り回されて疲弊して、お金だけが残って心身ともに再起不能になるよりは、はるかにマシな提案じゃないかと思っています。

「ケ」x「実存性ペルソナ」なコンテンツマーケティングに、挑戦してみませんか?

BBNは「速くてリッチ」なWebサイトと、パターンオーダーから始める月額制Webサイト制作のモデルを活かすために、ここまで述べてきた「ケ」x「実存性ペルソナ」なコンテンツマーケティングを採用しています。

お客様との二人三脚によるマーケティング、データ・ドリブン、顧客ドリブンな仮説検証を実施することで、パターンオーダーから最高のワンオフ、お客様にピッタリなWebサイトやWebマーケティングをご提案したいと考えています。

我々だけでもお客様だけでもできない未体験の取り組みに、一緒に挑戦してみませんか?

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長谷川 雄治
昭和63年生まれ。大阪電気通信大学 総合情報学部 デジタルゲーム学科卒。
2011年からWeb制作に従事。コーディングやWordPressのカスタマイズ等を主に経験を積む。2013年、仮面ライターとして独立開業。マーケティングや企画、上流も下流も幅広く対応。
コーディングとコンテンツ制作の同時提供を考えるヘンな人。
BLUE B NOSEでは開発等を担当。

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