ギョーシャではなく、専門家として並び立つ

長谷川 雄治
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先日noteの方で公開した記事と似た記事ですが、BLUE B NOSE(以下:BBN)のサービスの成り立ちとしても改めてお伝えするべきだと考えたので、少し違う角度から漆塗りとして解説しています。
積極的に関わることの大切さが、少しでも伝われば幸いです。

Web制作者として十年以上業務に携わっていると、何も知らない駆け出しの下っ端から始まって、色んな立場を経験します。また、一人の自営業者として活動していると、制作会社の下請けや孫請け、業務委託としての客先常駐や、直接クライアントと接する案件など、案件の質やお客様についても、バリエーション豊富にお付き合いすることになります。

組織に所属している間に、実績や人脈を十分に築かないでフリーランスに転身してしまうと、自分と同程度の実績しかないお客様や、経営者として歴が浅い「同格」の案件にしか出会えない、回ってこないという残酷な現実があります。

運が良ければ、積極的な営業や下積みを経なくても条件の良い案件や、良質な顧客と出会えるかもしれません。しかしながら、いつまでもそれが続くとは限りませんし、その案件が良かったとしても、それを持ち込んだクライアントまでが良質な顧客であるとも限りません。

やはり条件が良い案件や良い顧客というのは、評判や実績が伴うところへ流れやすいものです。経験が浅かったり、信用や知名度と言った「格」が今ひとつのところには、相応の案件が回って来ます。実績や信用がない間は、納期や作業量と単価が釣り合わない厳しい案件を回されやすく、諸先輩方による「可愛がり」や愛の鞭を耐え、その試練や洗礼をクリアすることで、実力を示したり、信頼を積み重ねていくことにも繋がります。

ただ、同時に「声をかけやすい、気やすい相手」と見なされてしまったり、経験が浅く何も知らないからと「どんな無茶振りをしても抵抗されない」と足元を見られてしまうこともあります。悪質な出会いによって使い捨てにされたり、出る杭を打たれるようなケースも少なくありません。

もっとも、クライアント側がクリエイターを「業者」として便利な手駒のように扱う場合や、クリエイター側が受動的に「言われるがまま」に従う案件では、良い結果に繋がりにくいものです。クライアントにそんなつもりがなくても、クリエイター側が「業者」という受け身の立場を意識してしまうと、優れたWebサイト制作や良質な仕事を実現することは困難です。

気持ちよく良い仕事をするにはどうしたら良いのか。お客様と良い関係で末永く付き合っていくために、どんなスタンスで向き合うべきなのか。作って終わり、Webサイトを公開して終わりじゃない月額制サービスで、相互理解を経た深い提案をするために導き出した心構えについて、お伝えします。

目次

Webサイト制作も専門職である

国家資格や免許が必要となる許認可業など、いわゆる「士(サムライ)業」ではありませんが、Webデザインやコーディング、CMSのカスタマイズやSEO、SNSに関するマーケティングなども、門外漢からすれば十分に専門的な知識、スキルを要する専門職です。

ホームページビルダーやアメーバブログのカスタマイズ方法といった古の文化だったり、最近であればWordPressのクイックインストールや、Jimdo、Wixといった無料ツールも充実し、知識や技術を学ぶためのオンラインスクールや、関連書籍も豊富です。「自分にもできる」や「私も知ってる」と耳年増な素人さんも昔から大勢いらっしゃいますが、実務に必要な技術や知識、近年のトレンドまで把握できている方はほぼいません。

制作会社や広告代理店等のご出身で「ああ、アレでしょ」と詳しそうな元技術者さんや、クリエイターから転身された相談者さんも数名いらっしゃいましたが、中途半端な知識やノウハウだけでは何ともならず、お断りした後にどうなったか、今は見る影もない方がほとんどです。

やはり、関わってくれる相手を尊重し、お互いに敬意を持って建設的な議論を交わせる関係性を持てないと、どれだけ素晴らしい商材やネットワークを有していたとしても、人心を繋ぎ止めることは難しく、徐々に衰退していくことは避けられないのでしょう。

だいぶ話が脱線してしまいましたが、制作に携わる当事者として、依頼する側に「上」を取られた状態、マウントを取られた状態で取り組んでしまうと、最終的な成果物は良い仕上がりにはなりません。Webサイト制作やWebマーケティングの分野も専門的な領域であり、専門知識やスキルが求められる仕事です。専門家としての立場を崩さず「上」を取られないこと、それと同時に「どちらが上か下か」という関係も持ち込まないことが、まずは第一歩ではないかと考えます。

プロフェッショナルに成り切ろう

アナタの中にある「プロフェッショナル」がどんなイメージかは分かりませんが、代表的な士業として、税理士や弁護士の姿を想像してみましょう。どちらも、クライアント側にも十分な経験や知識があり、専門的な議論を楽しみたがる場合もあるでしょう。依頼者側から、新たなヒントや知見がもたらされるかもしれません。

いずれにせよ、目の前の課題に対して相互に協力し合い、専門家として委ねるからには専門領域には口を出さず、専門家側は専門家側で、依頼されていないことであっても、プロとして気がついたことがあれば指摘や提案をするのが一般的な在り方でしょう。

Webサイト制作の世界でも、クライアントを上位に置き、自分たちを下位の「業者」と位置付け、上位下達で受動的に活動するのではなく、士業のようなプロフェッショナルに成り切って、専門家として振る舞ってみるというのは、そんなに悪いやり方ではないと思います。

クライアントやオーダーがどんなものであっても、自らが専門家として目の前の案件、仕事と向かい合う。プロとして気になることがあれば問題点を指摘し、改善策があるのなら積極的に提案し、より良い着地点を模索するために議論し、共創に務める。自らの仕事に誇りや責任感を持ち、手を離れた後に何かがあっても、自己責任として関与する。それが、クリエイターとして求められる姿ではないでしょうか。

上下関係を持ち込まず、自らを「業者」ではなく「プロフェッショナル」だと自覚する。その上で、クライアントとは対等な関係、横並びのパートナーとして、自分の足でしっかり立つこと。それが次のステップです。

請け負わない。委ねてもらう

何かを作る、成し遂げるという業務を「請け負う」形になってしまうと、どうしてもクライアントや指示書、発注書が全てになります。「頼まれたものを作る」がマストであり、現場レベルでの勝手な仕様変更は認められないでしょう。

大きなプロジェクトで、工程の後戻りを避けたい案件で、ウォーターフォール型を取り入れて着実に段階を踏んでいく場合は、それで大きな問題は起こらないでしょう。「何を作るか」の要件定義も、「何をやるべきか」という仕様や指示も明確で、用意される書類には、上長やクライアントによる認証のハンコやサインも残っているはず。

ただ、Webサイトを作り慣れていないクライアントや移り気なお客様の場合、またはトレンドの変化が激しい業界の場合、ウォーターフォール型では開発開始から完成までの時間差が開けば開くほど、「こうじゃない」という修正や要望が増え、トラブルが発生しやすくなります。

メールのタイムスタンプや書類の日付、サインなどを提示して、時系列を追って説明したとしても、「知らない」や「言った、言わない」と蒸し返された経験も何度かあります。メールや書面ではっきり痕跡を残しながら進めているのにも関わらず、です。

また「請負」の場合、請負人に仕事完成義務や瑕疵の担保といった責任を負うこととなっていた時期もあり、法律としてのルールや縛りも厳しいものが多い印象です。

一方で、士業などの専門職ではどうでしょうか?
完遂する義務は生じると思いますが、依頼者が専門家の力を借りるために「委ねる」のが基本であり、委託や委任を受けた間、業務や責任を遂行するというのが原則です。
委ねられている分、「請負」よりは柔軟で、自由度が高い印象を持ちます。

※ ただし、詳しくは「請負」と「業務委託」で調べましょう。民法の改正も合わせて追いかけることをオススメします。

Webサイト制作においても、制作業務や保守管理を「請負」とする場合は、事前の取り決めや指示書を優先したやや受け身な仕事となりがちですが、「委託」であれば、協議の場を持って多少の融通を効かせられるように思います。

いわゆる客先常駐やSESで業務委託された場合でも、契約期間内にプロジェクトが完了しなければ、途中で契約が終了してしまい、後ろ髪をひかれながら次の現場へ転戦するというのも、よくある話。「完成させていないから、契約違反」とはならないでしょう。

「契約を交わしたのだから、手駒となって言うことを聞け」ではなく、専門家として委ねてもらったのだから、敬意を持って業務に当たる、ちょっぴりドライで大人な関係を目指すのが、もう一つのステップかもしれません。

積極的に関与して、主体的に良い仕事を

「業者」の立場に甘んじて、何があっても責任は依頼主にあるから言われたことしかやらない、契約にないことをやっても喜ばれないし、好かれたくもないから適当な仕事でいい。

そういう働き方も間違いではありませんし、積極的に提案したのに何一つ採用されず、否定されるだけでは心が折れてしまう、前向きな気持ちややる気を削がれてしまうというのも、よく分かります。

しかしながら、そうやって生み出された仕事、世の中に送り出されたWebサイトは、一見仕上がりは良くても、求められた役割を果たせるかどうかは微妙でしょう。投資した分を回収できず、そのままWaybackにアーカイブされてしまうケースも沢山見て来ました。

成し遂げた仕事をポートフォリオに含めて、紙媒体やWeb上に画像として残していたとしても、実際のWebサイトとしては残っていなかったり、別のものに置き換えられてしまうようでは、やはり悲しいというか、虚しい気持ちになりますよね。

「綺麗なWebサイトを作れる」だけでは、クリエイターとしての評価は限界がありますし、長く使われるサイトや話題になった後もビジネスに貢献するサイトを作れた方が、アナタの価値や評価は高めやすいでしょう。「業者」として関与するのではなく、専門知識やスキルを有する専門家、プロとして積極的に関わり、主体的かつ能動的に動かなければ、いつまで経っても「綺麗なWebサイトを作れる」評価を超えられません。

お客様がどれだけ詳しくても、Webサイト制作の専門家や、情報伝達の専門家、マーケティングに精通した専門家として「私はこう思う」を提案し、建設的な議論を重ねましょう。お客様と共に、一人の知識や理解を超えた「二人三脚の共創」がなければ、「今までにないもの」は生み出せません。

クリエイターが船頭かつ実行役として舵を握り、お客様の水先案内人としてサポートすること。
また、同じプロジェクトに携わる仲間として尊重し合い、敬意を持つからこそぶつかり合うこと。

良いWebサイトを作るためには、『ギョーシャではなく、専門家として並び立つ』意識と、それに相応しいスキルや実績、説得力を備えることが重要じゃないかと思います。

「やりたいこと」に応えない月額制Webサイト制作

BBNは上記の通りというか、筆者が極端な天邪鬼であり、他人の指図を受けたがらない性格のため、お客様が「こうしたい」とどれだけ強く熱望したとしても、「やらない」と判断したことは実行しません。

そう判断する裏には、専門家としての経験や知識から来る理由や、クリエイターや生活者としての感性や直感が絡み合っています。作り手として心の底から納得できないもの、何となくでも気が乗らない「作業」になってしまうと、クオリティや価値が極端に下がる恐れがあるから、です。

雑念が混じった妥協の産物や、「コレでイケる」といった作り手の熱意が一切込められていない制作物では、受け取り手の心や感情を動かすことは難しいでしょう。市場や見えない相手と本気かつ全力でぶつかり合うためにも、気難しさもある頑固な職人、プロフェッショナルとして、必ずしも全ての要望を叶えるとは限らない月額制Webサイト制作サービスをご提供しています。

多少の面倒さを承知でお付き合いいただけるという方は、ぜひ一度ご相談ください。

BBNの概要についてはこちら

BBNが実際にどんなサービスなのかについては、こちらの記事をご確認ください。

パターンオーダーで始めるビスポーク

機能性もデザイン性も両立したいBLUE B NOSEは、月額1万円というお手頃価格を実現しました。高機能かつハイクオリティなWebサイトをお届けできるのは、パターンオーダーによる提案型だから。なぜ安価にできるのか、なぜパターンオーダーを選択したのか。その裏側を解説します。
長谷川 雄治
サービスについて

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長谷川 雄治
昭和63年生まれ。大阪電気通信大学 総合情報学部 デジタルゲーム学科卒。
2011年からWeb制作に従事。コーディングやWordPressのカスタマイズ等を主に経験を積む。2013年、仮面ライターとして独立開業。マーケティングや企画、上流も下流も幅広く対応。
コーディングとコンテンツ制作の同時提供を考えるヘンな人。
BLUE B NOSEでは開発等を担当。

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