目標は、オンラインプレゼンスを密かに支配する不思議な隣人

長谷川 雄治
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生成 AI による検索体験、Search Generative Experience(SGE)も登場し、本当がフェイクか定かでない検索アルゴリズムのリークもあり、SNSの動向は予測不能で著しい変動を示す昨今、SEOやWebを通じたマーケティングはどこを目指し、どうあるべきなのか。
いつでも激動のWeb(マーケティング)業界でどんな戦略、どんな立ち居振る舞いを目指すべきか、その辺りについて、筆者なりの考えを展開しましょう。

旧来のSEOも脅かす生成AIの進化や、SNSの栄枯盛衰、仕様変更など、変化は常に目まぐるしいWeb(マーケティング)業界ですが、目に見えにくい部分の変化、時代やユーザーの変化というものを正確に捉えている書籍、教本もまだまだ少ないのかなぁと思う筆者です。

目先で起こっていることに対する考え方から、ぼんやりとした肌感覚、「こうじゃないか」という筆者の偏見も多めに含めた筆者の提案、回答をお伝えします。

目次

絶妙な嘘をつくAIと、本当に欲しい情報へ辿り着けない検索結果と……

筆者が使っているのはChatGPTの無料版と、Skypeを通じたMicrosoft Copilotで、本格的なSGE(生成 AI による検索体験) を備えたタイプではありませんが、Web検索を巡る生成AIは徐々に一般化し、レコメンデーションやキュレーション機能の搭載も十分あり得るでしょう。

旧来の価値観でSEOを含めたWebマーケティングに向き合うことが、大きなリスクにもなり得る時代、いわゆる検索流入は今後どうなるのか、どうすれば良いのか気になっている方も多いでしょう。第二の検索エンジン、情報発信の場として頼りにしていたSNSも、外部URLのシェアを抑制したり、目に見える部分、見えない部分でのアルゴリズムや仕様変更も度重なり、どう変化するかが予測不能です。

Webマーケティングとしてどこに力を入れ、何をすればいいのか分からないという気持ちもよく分かりますが、本記事を投稿するタイミングで着実に言えるのは、AIの精度はまだ高くないということ。Web検索機能を有しない生成AIの場合、実在しない作家の存在しない著作を提示したり、本当かどうか分からない絶妙な嘘、間違いを提示することもよくあります。

SGEを備えたGoogleの生成AIはまだ試していませんが、Webからの引用も可能なMicrosoft Copilotで質問してみても、斜め上の解釈をして「そんな話は聞いてないのに」と思う回答を生成することもしばしばです。

ご自身で検証可能な環境、リテラシーをお持ちの方ならそれでも問題ありませんが、生成AIを盲信して生命や財産に実害を被る人が出ないとは言えないレベル。ソースや引用元、参考文献や確かなエビデンスを求める場合は、まだまだ生成AIで完結させられないというのが実態でしょう。

生成AIでは答えが得られないからとWeb検索に切り替えてみても、欲しい情報には辿り着けないか、コピーに近い類似コンテンツ、ちょっと古い記事が引っ掛かるばかりで、どれが広告でどれがそうでないのかもパッと見では判断しにくくもなっています。

結局、公式サイトや公式ドキュメント、版元のSNSやHP、GitHub等のやり取りを見て、自分なりの答えを導き出さなければならないという状況もよくあり、思い込みや誤情報を検証、訂正するための一次情報参照、あるいはそこへ辿り着くための検索となりつつあるのが、筆者の体感です。

つまり、生成AIや巷のSNS、Googleの検索アルゴリズムがどうなろうと、オリジナルの一次情報やフェイクなしの公式データというのは今後も必要とされるし、ドメインの存在感や価値は今後も変わらないということ。

不意にキーワードを思いついて、フラッと検索流入してくれることを期待するのも悪くはないですが、URLやドメインの直接的な入力やリンクのクリック、紐付けてあるQRコードの読み込みといった導線は今後も備えておいた方が良いでしょう。

「ストックの一次情報」とそれを保有する場が大事

一次情報と一括りにしても、公式サイトの記載内容と、SNSの公式アカウントによるアナウンスとでは位置付けが異なります。前者はストック、後者はフローで、どちらもわざわざ消さない限りは閲覧可能ですが、後からいつでも辿り着きやすいのはストック型の方でしょう。

タイムラインを遡って「いついつの記述」と探し出すことも可能ですが、その情報はいつまで有効なものなのか、あるいはどれぐらい古い情報なのか、前後に付記がないかなども把握しておかないと、フローの情報は役に立たない可能性も十分あります。

生成AI時代のWebマーケティングとしては、ストック情報の重要性が増しますが、肝心のストック情報がクーポン系のポータルサイトや、大手のマップサービス、ユーザーによる口コミ投稿サイトにしか掲載がない場合も多く、おまけにその情報が正確ではない場合や、相当古くなっていて現状と齟齬を生じているケースも多々あります。

特に日本国内の場合、飲食店や理美容、各種医療系といった突発的な検索需要も大きく、その恩恵も比較的受けやすそうな小規模事業者に限って、公式のWebサイトを持たずに見えない取りこぼしが多発しているような気がします。

営業時間や連絡先、所在地といった簡単には変わらない情報かつユーザーはいつでも確認したい情報、間違えられても困る類の情報は、SNSを用いてフローの発信をするのではなく、独自ドメインを割り当てた公式サイトにストックとして掲載しておくと、生成AIのよるWeb検索機能とも共存可能でしょう。

臨時のアナウンス、今現在の緊急のお知らせはSNSのフローでも良いですが、営業日カレンダーやレギュラーメニューなど、時間が経ってからも確認したい情報、いつでもチェックして欲しい情報は、ストックとしてSNS以外の場所へ掲載することをオススメします。

ドメインで「指名検索」と「検索しない導線」とに備える

取得したてのドメインは検索に不利という一面はありますが、一次情報をストックする際の場としては若いドメインであっても、独自ドメインを割り当てて、そこへ集約するのがベターです。オリジナルな一次情報をストックすればするほどドメインの価値が向上し、指名検索時に関連性の高いドメインが上位に表示される可能性が高まります。また、入力しやすいドメインであれば、ユーザーが検索を経ずに辿り着く可能性も増加します。

独自ドメインの若さや弱さが気になるのなら、ビジネスアカウントが作りやすい各種SNSにアカウントを作成し、そこから公式サイトへ誘導するという策も有効です。被リンクによるSEO効果はありませんが、指名検索時の上位占有面積が広がるでしょう。

独自ドメインを割り当てた先はオウンドメディアも兼ねた公式Webサイトにすると、記事を中心とするコンテンツを増やすことで専門性を強化し、ドメインの価値向上も図れます。さらに、検索結果の的を増やす効果も期待できます。

ドメインや発信者の価値を向上させつつ、QRコードの読み込みや第三者サイトからの流入を受けるための受け口としても機能させつつ、検索を経ずにURLの入力によるアクセスを誘発するためにも、ドメインと共に公式サイトを準備しましょう。その上で、ストック情報を見やすくしておくと、エンドユーザーとの関係も友好なものにしやすいのではないでしょうか。

ドメインの取得もWebサーバの準備もWebサイト制作も安くはありませんが、見えない機会損失を回避するためにはそこまで悪い投資ではないと思うのですが、提供する事業者の都合で捉えすぎですかね?

検証、確認の検索と、エンターテインメントなSNS

比較検討や情報収集の一環としての検索需要は一定数残ると思いますが、生成AIが一般的に利用されるようになると、AIの出した情報が本当に正しいかどうかを確かめるための検証や確認を主とする検索が増えるのでは、というのが筆者の偏見です。

何かしらを検索してブログ記事やWebサイトへ辿り着いた時点でユーザーの意見はすでに決まっていて、最後の一押し、どうしても引っかかる部分だけチェックしたいという検索ニーズは以前からそれなりにあったような気もしますが、今後はそういった確認目的、購入直前の意思決定目的の検索が増加するのではないか、と考えています。

SNSの場合は、個人のアカウントや友人知人のアカウント相手ならいざ知らず、そうでないアカウントに対しては、徹底的にエンターテインメント性やニュース性、有用性というものを求められるような気がします。

いずれにせよ、先生やエキスパートとしての教えたがり、情報の押し付けたがりは歓迎されておらず、相手が求めていない余計な情報は、例え有益なものであっても嫌がられる可能性がある、と見ています。

ブログ記事やSNS発信を通じた過度の売り込みや態度変容を迫るような訴求は、オプトインであっても取扱注意です。可能なら、受け手に余計なストレスをかけない無害な発信、ユーザーの意見を肯定して背中を押すような内容、あるいは楽しませることをメインにした発信にする方が無難でしょう。勝負の時のみ、細心の注意を払ってアプローチする、もしくはオンラインでは全くやらないぐらいがベターな気がします。

選ばれる理由を見極めて積み上げることや、どうやったら売れるかを必死に検討することも重要ですし、それらが一定の水準を超えなければ存在しないものとされ、無視される市場の残酷さも理解しますが、「選んで」という圧や「買って欲しい」というメッセージも、場合によってはノイズ以上に有害な存在へ昇華します。

検索しようと思った瞬間や、SNSを通じてやり取りしようと思うタイミングで、過度なアピールは求められておらず、もっと手前の段階、早いタイミングから自分たちやサービス、ブランドの良さをさりげなく伝え、ユーザーの注意や認知、記憶の中に居場所を確保しておきたいですね。

同好の士、仲間の一員として入り込みたい

主に都心部でリモートワークもある程度定着し、テレビや新聞の衰退も顕著な昨今、一人一人の動態変化や情報を受け取る環境の多様化もあり、マスへ向けたアプローチは以前より困難になっています。情報と接触する経路もタコツボ化やサイロ化が進展し、発信者側のアプローチだけでは新しい情報を届けることが難しくなっています。

そんな状況で、余計な情報を押し付けて来る厄介な敵対勢力と思われるのは得策ではないでしょう。何も求めてこないし、気分を害する理不尽な振る舞いもしない、無害で感じの良い隣人、良き仲間や同好の士であれば歓迎される可能性が高まります。

商品やサービスを購入する前も、購入された後も良好な関係を保ち、裏切りの烙印を押されないように立ち振る舞う。声高に自分たちの存在をアピールすることもなく、今までと同じ暮らしを担保しつつ、ちょっとだけ良くするコツを伝える不思議な人、ぐらいの立ち位置が無難な気はします。

すでに知っているから、調べようと思った時にはキーワードを思いつく。すでに知り合いだから、オプトインで個別に詳しい話を聞くこともやぶさかではない。緊急時にパッと脳裏に思い浮かぶ際も、優先順位の高い位置を占める。そこまで行けば、そこから先のキーワード検索や各種マーケティング、ブランディングも浸透させやすくなります。

防衛機構や免疫が作用する前に中へ入り込み、仲間の地位を確立する。仲間として勝ち得た信頼を裏切ることなく、自らの任務を密かに遂行する情報工作員のような、地味で静かなマーケティング。そんなやり方も、これからの時代に有効なのではないかと筆者は考えます。

プレゼンス、認知の制空権を防空識別圏外から静かに支配する

最終的には売り込みを目的としながら、売りたい気持ちや選ばせたい気持ちは防衛機構が働くよりも遠い場所で投げ捨て、無害な一般市民、専門領域にちょっと詳しい謎の人物として内側へ入り込む。密かに静かに、オリジナルでストックの一次情報を蓄積しつつ、フローで友好な関係、親密な関係を築きながら、自分の良さや考え、在り方をじわじわ伝える。その繰り返しの果てに、伝えたい相手の記憶や認知の領域に確かな居場所、プレゼンスを確保する。

極めてパーソナルな内心、精神的な個人の領土や領空へこっそり働きかけて興味関心を占有するようなイメージで、本当に伝えたいこと、勝負のタイミング以外では変なことは一切しない。昨今のWebを通じたマーケティングの基本的な考え方は、そういった超長距離の誘導弾や自律誘導のドローン爆撃、緻密な情報工作のイメージが合うのかもしれません。

生成AIの回答で十分なら確かめるための検索はしないし、事前に認知していないキーワードや知らないことは検索できないし、検索する時点で比較の段階を過ぎているかも知れない。「特定のキーワードで〜」や、「いわゆる検索流入」を期待したいなら、もっと手前の段階、ブランドやサービスへ明確にタッチする前の時点から、相手の意識下、記憶の中に入り込まないと、厳しい時代が幕を開けつつあります。

ドメインやWebサイトを中核とするオンラインプレゼンス、多種多様なコンテキストを如何に活かすか。目の前やその背後にいるユーザーと向き合う瞬間、タッチポイントとなるコンテンツ以外の部分でも、どう立ち振る舞うか。

生成AIやフェイクニュース、Evilが強くなり始めたGoogleや情報の洪水も踏まえて新たな時代へ突入しつつある情報発信、Webマーケティングの世界で考えておきたいのは、いかに売るかやどうやって選ばせるかではなく、ウェルビーイングの観点やステルスかつ情報工作員めいた姿勢、戦略じゃないでしょうか。

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長谷川 雄治
昭和63年生まれ。大阪電気通信大学 総合情報学部 デジタルゲーム学科卒。
2011年からWeb制作に従事。コーディングやWordPressのカスタマイズ等を主に経験を積む。2013年、仮面ライターとして独立開業。マーケティングや企画、上流も下流も幅広く対応。
コーディングとコンテンツ制作の同時提供を考えるヘンな人。
BLUE B NOSEでは開発等を担当。

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