あっという間に(?)10月最後の水曜日。二、三日もすれば11月というタイミング。
11月になれば流石に気温も下がってきて、本格的に紅葉も楽しめる秋本番ーー。
と、言いたいところですが、実は11月7日が立冬。
晩秋と聞くと何となく11月のイメージですが、実際には10月の終わり頃です。
厳密には立冬前日までの約18日間に該当しているので、今頃は秋の土用真っ只中。一年を春夏秋冬と季節毎の土用に分割するのなら、秋の最盛期であると同時に移り変わりの時期である、とも言えます。
季節や旬に気を付けなくても良い立場なら、季節を少し間違えたとしても「ちょっと恥ずかしい」で終わりますが、特に旬を意識したい和文化系や和食系の飲食店の場合、気候に釣られて初夏や晩夏を勘違いしてしまうと、「恥ずかしい」だけでは終わらない可能性を秘めています。
季語や歳時記、二十四節気七十二候、季節に適した挨拶なんて、短歌や俳句を趣味にしない限りは、無関係な気もしますが、何かの役に立つかもしれないので、改めて取り上げてみましょう。
他の季節も、ズレている
11月の初旬には立冬を迎えるなんて、随分気が早いように思いますが、一つ前の立秋は大抵、8月初旬。8月中頃のお盆より前には、秋が始まっています。
「えっ、意外」と声が漏れるかもしれませんが、公立小中学校の夏休みが始まる頃、7月20日過ぎぐらいには「土用の丑の日」と、主にウナギのセールが始まっているので、お盆の前には「土用の丑の日」があるというのは、繰り返し刷り込まれているはず。
立冬前の土用があるのと同様に、立秋にも当然土用があります。
夏の盛りであるのと同時に、厳密な季節としては夏が終わって、次の季節に移行しているタイミングでもあります。
そして、立秋前後で変化するのが季節の挨拶。
立秋前なら「暑中見舞い」で構いませんが、立秋を過ぎると「残暑見舞い」に。
もうそんな挨拶状のやり取りなんてやっていないという方も多いでしょうが、気を付けたいポイントです。
つまり、立秋の時期から考えると、初秋は8月、中秋が9月、晩秋が10月ということになります。
気候や体感からすると、何となくズレているような気がしますよね。
ちなみに立夏は5月の初め頃、立春は2月の初めで、それぞれ1ヶ月毎に初春〜晩春、初夏〜晩夏という扱いです。どの時期を振り返ってみても、何となくズレているような気になるのでは。
夏場の暑い時期である大暑が7月下旬頃から立秋手前まで、徐々に暑さが和らいでいくとされる処暑が8月下旬頃から9月の初め頃までと言われても、「納得いかない」でしょうね……。
二十四節気は旧暦ベース?
いわゆる太陰太陽暦ベースの天保暦や、英語でチャイニーズカレンダーと呼ばれる中国暦など、太陽暦ベースのグレゴリオ暦に改暦されるまで用いられていた旧暦の場合、旧正月はグレゴリオ暦の1月1日より一ヶ月ほどズレが生じている、というのは何となくお分かりいただけるでしょう。
なお日本の場合、旧暦の明治5年12月2日の翌日から新暦の明治6年1月1日となっているので、その時点でほぼ一ヶ月ズレています。二十四節気や立春、立冬といった時期が決まっているとすれば、もしかしたら違和感はかなり解消されるかも。
ただ、国立天文台の『「旧暦」は現在の暦より季節に合っているの?』によると、「実際には、太陽の動きをもとに作られている現在の暦のほうが、季節には合っている」とのこと。
https://www.nao.ac.jp/faq/a0305.html
「現在の暦より「旧暦」のほうが季節をうまく表しているということではなく、「旧暦」から現在の暦への日付の読み替えがうまくいっていないということ」が国立天文台としての公式見解に思われるので、少々強引な改暦の結果が尾を引いているのかもしれません。
また、約23.4度という地軸の傾きから、最も暑い時期が夏至の6月頃ではなく8月頃だったり、暑い時間が太陽が最も高い正午ではなく14時頃になったりと、何となく暑いのも寒いのも1.5〜2単位分ぐらい、後ろへズレているような気がします。旧来の年末年始、つまり春の初めである立春や節分の時期を考慮すると、旧正月と似たようなタイミングになりますしね。
つまり、一ヶ月から二ヶ月弱ぐらい気候や体感よりも先に暦が先に進んでいる、自分たちの気持ちより、季節の方が早い、ということでしょう。
ちなみに、五行に基づくなら、青春(木)、朱夏(火)、白秋(金)、幻冬(水)がそれぞれ弱いところからスタートして、最盛期へ向かって強くなり、各季節の間にある土用の時期を経て次の季節へ移っていく、という考え方のようです。
『Wikipedia 土用』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%9F%E7%94%A8
土用の18日間で一番強い状態から、隣接する要素の一番弱い状態へ移行するなんて、そもそもが合わないような気もしませんか? 季節の移り変わりは極端な矩形波ではなく、周期的に拡大縮小を繰り返す正弦波の方が近い気がしますが……。
これ以上のツッコミはかなり野暮だと思うので、この辺りにしておきましょう。
大手メーカーは、暦に忠実
体感や気候や季節と暦の間には、多少のズレがありますが、大手メーカーや大規模小売店などは暦に敏感というか、かなり忠実な印象です。
「土用の丑の日」で事前にウナギをしっかり調達しているのは最たる例ですが、私たちがまだまだ夏だと思っているお盆明けのタイミングで、キリンビールの「秋味」やサントリーの「秋梨」や「秋りんご」、「秋ぶどう」といった期間限定フレーバーのお酒は、きっちり店頭に並んでいます。
赤城乳業の「ガリガリ君」の「梨味」に至っては、ほぼ毎年立秋前には各地のコンビニやスーパーに出回っている印象があります。
秋だけでなくサッポロビールの「サッポロ冬物語」も、コマーシャルソングとなった槇原敬之の『冬がはじまるよ』のタイトルに恥じないぐらい、我々が「冬だ」と思う前には商品棚に鎮座しています。
秋に関しては期間限定商品として、梨やブドウが口火を切り、八月の後半頃からサツマイモ、栗味が投入され、ハロウィンまでにはカボチャが出回り、最終盤に柿が出てくるといった、フレーバーの移り変わりも、見事だなと毎年感心しています。
コーヒーや紅茶、チョコレートの濃いめの味も秋から冬にかけて広く出回り、夏には夏でレモンを経てからチョコミントやメロン、スイカといった商品に移り変わるイメージです。
季節に先行して商品を売らなければならない衣料なんかは、実際にその季節になってから「欲しい」と思っても、売れ残りみたいな在庫しか残っていないことも多く、クリアランスセールにも間に合わないという経験をされた方も、少なくないでしょう。
流通や商品の移り変わりで、季節の移ろいや暦の変化を感じたり、「もうそんな季節?」と驚くこともよくあります。
商品開発や製造などのリードタイムを考慮すると、各種メーカーや流通、小売事業は、暦に忠実どころか、暦すら武器にして、前倒しで仕掛けているということ。
ちょっと歳時記を開いてみたり、カレンダーや暦を調べるだけでも、弱者なりに対抗できるポイントは見つかるでしょう。有効活用しない手はありません。
キの早さに喰らいつけ。ブキにせよ
ボサっと気を抜いていなくても、光陰矢の如し。
あっという間に一ヶ月が過ぎ、四半期が過ぎ、一年が過ぎていくものですが、一般的なカレンダーを見ているだけでは把握しにくい二十四節気や七十二候も、気が付かぬうちに過ぎ去っていきます。
恐らく、我々の「気」より「季」の方が早いです。
勝手に遅いと思い込んでいるカメの足ぐらい、意外な早さです。
翌年の干支は「午」でも、午の中でも「丙午」だというのも、多少調べればすぐ分かります。
丙午がどんな傾向にあって、どんな年なのかも、歴史を紐解くことができるでしょう。
「土用の丑の日」も、具体的にいつなのかを調べたり、年によっては夏の間で「二の丑」があると知っておくと、話のネタにも使えます。
今が四季や二十四節気でいつに該当するのかを把握しておくと、恥をかかずに済むかもしれませんし、歳時記を通じて季語を知っていると、季節の挨拶やちょっとした所で、教養やセンスを見せられるかもしれません。
季節の変化や暦に敏感でいることは、単なる知識以上のブキになります。
仕掛けのタイミングも逃すことなく、ちょっとした会話で信頼を得るきっかけにもなります。
しっかりアンテナを立てておけば、損するどころか、得する場面の方がずっと多いでしょう。
暦を上手く活用して、ブキにしましょう。
コンビニやスーパーでも、季節を掴もう
今がどの季節に当たるのか、暦の上ではどうなっているのか。
リモートワークで外に出なくても済む生活だと、季節の移ろいに疎くなってしまいますが、そんな時は近くのコンビニやスーパーなどの商品棚をチェックしてみましょう。
ここまで述べてきた私も、コンビニの新商品やスーパーに並ぶ青果、値段の移り変わりを見て、ようやく季節を知るタイプです。週末に街へ繰り出して、飲食店の期間限定メニューや、「XXを入荷しました」という看板を見て、心を躍らせることも多々あります。
色んな動きをキャッチしきれず、後になって「そんなのあったの?」と後悔する事もしばしばです。
でも、そのぐらいで十分でしょう。いつも見ている商品だけでなく、「もうあんな商品出ている」と新顔もキャッチできる視野と柔軟性が確保できていれば、それだけで先手を打てるかもしれません。
それから、気になったことがあれば後から調べて確かめたって、遅くはないでしょう。
その一手間や積み重ねが、いつか確かなブキに変わりますから。
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